200夜 ヒーロー~美しい恋物語にちなんで命名されたイングリッシュ・ローズ

第200夜
Hero/ヒーロー

Hero ヒーローは”英雄”の意味ではなく、ギリシャ神話の中の美しい恋物語に登場する若い女性です。
9cmから11cm径、30弁前後、オープン・カップ型の花が房咲きとなります。
開花時にミディアム・ピンクであった花色は、日が経つにつれ、色を失って淡いピンクへ移ります。イエローのオシベがフォーカルポイントとなり、花色がおだやかなわりに人目を惹きます。
強く香ります。
幅広で丸みを帯びた、深い色合の半照り葉、120cmから180cm高さの、立ち性のシュラブとなります。庭植え、ポット植えともに楽しむことができます。
ピンクのイングリッシュ・ローズ、ザ・プライオレス/The Prioressと、不詳実生種との交配から育種され、1982年に公表されました。
シェイクスピアの喜劇『空騒ぎ/Much Ado About Nothing』にも、気の強いヒロイン、ベアトリスの従姉妹としてヒーローという心優しい女性が登場しますが、イングリッシュ・ローズにはレアンダー/Leanderという品種もあるので、神話にちなんで命名されたものと思われます。
Hero Imageへレスポントス海峡(今のダーダネルス海峡)に面する街、セストスで愛の女神、アフロディティ(ヴィーナス)を祭る神殿の巫女をしていたヒーロー(ヘロ)は、ある祭典の日、海峡を挟んだ対岸の町、アビュドスからやってきた青年、リアンダー(レアンドロス)と出会い、恋に落ちました。
神殿の塔に住むヒーローは毎夜、明かりをともし、リアンダーはその明かりを目印にして海峡を毎夜泳ぎ渡ってきて、二人は逢瀬を重ねました。しかし、ある夜嵐となって、風はヒーローのともす明かりを吹き消し、海は荒れ、リアンダーは目標を失い、溺れ死んでしまいます。海岸で息絶えたリアンダーを見つけたヒーローは絶望のあまり、塔に駆け上って恋人の後を追って身投げしてしまいました。(”Wikipedia”)
シェイクスピアと同時代でライバルであったクリストファー・マーローが事件死したとき、”ヒーローとリアンダー/Hero and Leander”という詩を書きかけで、未完になってしまったことはよく知られています。
シェイクスピアも彼の初期の時代の作品といわれる『ヴェローナの二紳士』の初めの場面で、二紳士、ヴァレンタインとプローテュースは、このヒーローとリアンダーの物語へ言及します。当時、もっともポピュラーな恋物語のひとつであったのかもしれません。
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